2012年07月07日(土)開催。
企画 : 中部運営委員 河村康郎
1.初めに
「護国之寺の女性副住職仏師と箸を作り精進料理」のイベントに参加し、家内ともども大変満足することができましたので、イベントの概要をご紹介したいと思います。
2.護国之寺(ごこくしじ)
今にも降りそうな梅雨の曇り空の岐阜駅からおぶさ行きのバスで長良川の北にある山の麓にある護国之寺を訪問しました。いまは真言密教高野山の末寺ということですが、奈良時代に聖武天皇の勅願により創建されて以来1200年を超え、本山を上回る古い歴史を持つ寺です。かっては大伽藍があったようですが、織田信長の兵火により全焼したとのこと。
再興されたという寺の麓にある山門はその後また歴史を重ねて古めかしく厳かに感じられました。アジサイが咲き誇る急階段を上って振り返ると麓を流れる長良川の向こうには金華山の頂上に織田信長が天下布武の夢を描いた岐阜城が見えました。
3.精進料理
本堂よりさらに高い場所に作られた客殿は一層眺めがよく、広縁に二方向を囲まれた和室で庭の緑を眺めながら精進料理を頂戴しました。田舎の禅寺で素朴な精進料理を食べて育ったので、久しぶりに懐かしい味に出会えるかと思っていたら、出された料理は全く違った味でした。材料は確かに精進料理ですが、その味付けは磨きに磨いたという印象で、まるで高級料亭で食事をしたかのような気がしました。最初に出された3品のひとつは見た目は柔らかそうなたっぷりのゴマ豆腐。手間をかけて擦り込んだのかしっかりした歯ごたえと何とも言えない味付け。我が家の近くのレストランで食べるゴマ豆腐とは格が違い、あまりのおいしさに一気に食べてしまいました。
嫁いできてン十年のお庫裡さんからときどき説明をいただきながら、次ぎ次と運ばれてくる品数豊富な(11品)料理をすべておいしくいただきました。中ほどで精進料理なのにウナギの蒲焼らしきものが出てきたので驚いてよく見ると蒲焼に模して加工した食材に張り付けられた海苔がウナギの皮に見えていました。がんもどきと同じ手法のようです。満腹した後に出された五目御飯は量も多いのでパスしようかと思いましたが、ちょっと箸をつけてみるととても味もよくまた食べやすく、これまた一気に空にしてしまいました。何かの折に知人を食事に誘うなら満足度とコストパフォーマンスではここがいいなと思いました。遠いという点はありますが。
食事の後は国宝、重要文化財などが陳列されている2階に上がってお庫裡さんから丁寧なご説明を受けました。
4.箸作り
麓の山門の脇に住職の娘さん(副住職兼仏師)が開いておられる阿字道場があり、彫刻や写経の方が来られていました。その一角で妙齢の仏師のご指導をいただきながら、細いヒノキの角材からマイ箸を作る体験をさせていただきました。四角い木材の四つの面毎に箸先が細くなるように削り込むときは、逆目は避け、順目になる向きに鉋をかけることを指導されましたが、誤って逆目で鉋をかけたら木材の目が立って折れ、削った面に細いいく筋もの見苦しい溝ができてしまいました。また大きな木材に鉋をかけるのとは違い、木材が小さく細いために鉋とともに滑ってしまい、削り込むのが容易ではありませんでした。時間がかかる割に削り込みが進まず、なんとも太すぎて食欲もわかない箸になりましたが、時間切れ間際に必死に細くしたお蔭でなんとか箸らしく見える太さになり、最後はクルミ油で仕上げました。片付けの後は、仏師・お庫裡さん母娘を囲んで阿字道場を開いた苦労話などをお聞きしました。
5.最後に
食事と箸作りで5時間を超える長い時間を護国之寺で過ごしたのにそれが本当に短く感じられました。平野のただ中にある愛知県の我が家とは異なり、緑に囲まれた急階段の護国之寺はどこか子供時代を過ごした寺に似て懐かしく、郷里を離れて半世紀、自分の墓所もなくなった身としては護国之寺山上の納骨堂に入れてもらうのも一つの方法かなという気もしました。ここなら子供たちがお参りしてくれた時、寺から見る長良川、金華山と岐阜城の眺めとこの精進料理の楽しみをおかえしできそうな気がします。
先のことはともかく、また別の季節にもう一度、家内とともに尋ねてみたいと思いました。
(文と写真 岸田匡弘会員)
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